にゃんこさんのように丸々と太れないけど、
にゃんこさんと名前をつけられる。
樹々のように長く立っていられないけど、
ハンモックでゆられていられる。
ペンギンのようにスーイスイと泳げないけど、
温泉にのんびりつかっていられる。
カラスのように大空を翔けないけど、
横になって眠れる。
生きものたちの目が
ほかを見つめるようについてるのは、
生きものたちの目が
内にむかってついていないのは、
生きものを見つめるためなんだ。
首輪もなしで丸々ふとったにゃんこさん
きっと、生きかたがおじょうずなのだろう。
遠くから眺めていた、
にゃんこさんがやってきた。
蟻の大群が湿った猫のエサをせっせと運ぶ
おじいちゃんが鞄からひょいと出す
これっぽっちも動かないにゃんこさん。
お腹空いてないの?
静かな時間がながれていく
そろそろ帰るね。
静かな時間がながれていく
そろそろ帰るよ。
突然さっと起きあがり、
茂みの中へ帰っていく。
にゃんこさんは耳で人間を見つめていた。
沈黙にながれた言葉をどれだけ拾えただろう。