世の中のすべてのモノを本音で評価!MONOQLO 2022年4月号にて、一部お伝えいたしました。
管理栄養士の奥田千晶です。
少し前のLDK the Beauty 2021年9月号でも、一部お伝えしました。
プロテインって、ぶっちゃけ・・・
まずい!
大量購入したけれど飲み切れず、ごみ箱行き。
よほどのストイックさんでない限り、お口に合わないものは続けられないのが普通です。
マッチョも美肌も、今日明日でなれませんから、おいしいことも大切。
おいしさのは料理研究家さんと評価しましたよ。
MONOQLOについては、月号が切り替わってのご案内となりました。心苦しい限りです。
ネットでご購入いただくか、Kindleでご覧になってくださいね〜
本題は、ここから。
プロテイン(日本語訳:たんぱく質)は、お肉やお魚、食事からも摂取しているはず。
1日トータルでみたとき、ムダがないプロテインを選べるテクニックを、ブログに書き残しておきたいと思います。
※算数を含みます、必要に応じで電卓をご用意ください
たんぱく質は1日に何グラム必要なの?
<20〜50代>
男性:65g
女性:50g
※出典 日本人の食事摂取基準2020年版
日本人の食事摂取基準とは、健康な個人や集団を対象とし、何をどれだけ食べたらいいかの基準を数値で示したものです。
民間団体の代表がこれぞ!と掲げているものとは異なり、多くの科学的根拠や各種疾病ガイドラインを基に、大学教授や病院の責任者が意見交換を重ねて設けられています。
男性65gや女性50gという数値は、個々の食材や個人の食べ方で変動するたんぱく質の利用効率と、集団の97.5%の人の必要量を満たす(=大多数の人に当てはまる)ための補正もされています。
65gないしは50gをとっていれば、不足はしないでしょうとされる量です。
運動量別に見る考え方もある
飛ぶ、跳ねる、着地する。重たいものを持って負荷をかける。
持久的な運動やハードなトレーニングをすると、筋肉が壊れたり、たんぱく質がエネルギー源として使われます。
そのため、体重1kgあたりから必要量を考える指標もあります。
<運動量別たんぱく質必要量>
■通勤・通学、家事、買い物
体重1kgあたり0.8〜1.0g/日
■持久性トレーニングをしている:長距離ランニングなど
体重1kgあたり1.2〜1.4g/日
■断続的な高強度トレーニングをしている:ダンベルを使った筋トレ
体重1kgあたり1.4〜1.7g/日
※出典 Kreider RB,Wilborn CD,Taylor,et al.ISSN exercise & sport nutrition review: research & recommendations.Int J Soc Sports Nutr.2010;7;7.Sports,Cardiovascular and Wellness Nutrition DPG.Sports Nutrition: A Handbook for Professionals,6th Ed.2017
計算してみよう!
体重60kg、1日に必要なたんぱく質は?
■通勤、家事、買い物で動く程度かな
体重60kg×0.8〜1.0g=48〜60g
■毎朝1時間くらい走ってます
体重60kg×1.2〜1.4g=71〜84g
■重めのダンベルを使った筋トレが習慣です
体重60kg×1.4〜1.7g=84〜102g
過剰摂取の目安は1日何グラム?
日本人の食事摂取基準では、過剰摂取となる数値は設定されていません。
摂取すればするほど、たんぱく質が筋肉や肌になりそうなイメージがあるかもしれませんね。
残念ですが、たんぱく質は過剰に摂取したところで体内に蓄積できないんです。
常に分解されているからたくさん摂らないと、マッチョや美肌になれないようなイメージがあるかもしれませんね。
残念ですが、体内ではたんぱく質の再利用もされているんですよ。
たんぱく質の絶え間ない分解と合成を、たんぱく質の代謝回転と呼びます。
たんぱく質は体をつくる材料になるため、大切な栄養素であることは言わずもがな。
大切な栄養素だからこそ、1度きりの使い捨てではなく、分解されても再び創り上げる能力が人間には備わっています。
国際オリンピック委員会(IOC)は、2〜3g/日を超えて摂取しても、筋合成などによい影響を与える明確なエビデンスはないと言っており、
スポーツ栄養学の分野では、体重1kgあたり2g/日以上を過剰摂取の目安としています。
体重60kgの場合、60kg×2g=120g/日ですね。
ただし、この数値は強めのトレーニングが多く筋肉が壊れまくりのアスリートのお話です。運動量や強度が低いようでしたら、そんなに摂らなくてもよいでしょう。
料理や食材のたんぱく質量を少しまとめてわかった、意外とアレに多い
注目点は、お肉やお豆腐のような一般的にたんぱく質源のイメージがあるものだけが、たんぱく源ではないというところです。
朝ごはん部門
単位 | たんぱく質量 | |
ごはん | 男性用お茶碗1杯 | 12.2g |
女性用お茶碗1杯 | 9.1g | |
お味噌汁 | 1杯 | 1.2g |
食パン | 5枚切り1枚 | 7.1g |
6枚切り1枚 | 5.6g | |
ロールパン | 1個 | 3.0g |
塗りバター | 1すくい | 0.1g |
塗りマーガリン | 1すくい | 0g |
たまご | M1個 | 6.3g |
6Pチーズ | 1個 | 3.3g |
納豆 | 1パック | 7.4g |
焼き鮭 | 1切れ | 14.8g |
絹ごし豆腐 | 小鉢1つ | 8.0g |
牛乳 無調整 | コップ1杯 | 6.6g |
豆乳 無調整 | コップ1杯 | 7.2g |
ヨーグルト 無調整 | 小鉢1つ | 3.6g |
キウイフルーツ | 1個 | 1.0g |
バナナ | 中1本 | 1.7g |
りんご | 中1/4個 | 0.05g |
みかん | 中1個 | 0.7g |
さらっと飲めてしまう牛乳や豆乳コップ1杯7.0gほど。
プロテインに混ぜるなら、無視はできない。
お昼ごはん部門
単位 | たんぱく質量 | |
ラーメン (チャーシュー2枚、ねぎ、メンマ、ほうれん草) |
1杯 | 19.9g |
うどん (うどん1玉、わかめ、ねぎ) |
1杯 | 8.7g |
そうめん | 1把 | 9.5g |
ざるそば | 並1盛 | 13.2g |
ペペロンチーノ | 1皿 | 14.0g |
牛丼 | 大盛り1杯 | 25.0g |
並盛り1杯 | 20.0g | |
カレーライス | 並1皿 | 20.4g |
煮魚定食 (さばの味噌煮、ごはん、味噌汁、お新香) |
1人前 | 30.1g |
焼き魚定食 (鮭の塩焼き、ごはん、味噌汁、のり) |
1人前 | 27.0g |
麺類vsごはんものだと、ごはんものの方が多め。
パスタオンリーのペペロンチーノでさえ、たんぱく質14g
主食を侮ることなかれ。
夜ごはん部門/アラカルト編
単位 | たんぱく質量 | |
えだまめ | 1皿 | 11.5g |
からあげ | 中4個 | 18.4g |
ぎょうざ | 6個 | 10.2g |
とんかつ (豚ロース、キャベツ、ソース) |
1人前 | 34.3g |
ハンバーグ | 1個 | 16.0g |
ビーフシチュー | 1皿 | 24.8g |
野菜炒め (キャベツ、ピーマン、にんじん、たまねぎ) |
1皿 | 2.5g |
さばの味噌煮 | 1人前 | 23.0g |
豚汁 | 1杯 | 5.7g |
ひき肉になると、若干少なくなりますね。
夜ごはん部門/お刺身編
単位 | たんぱく質量 | |
ぶり | 3切れ | 10.7g |
まぐろ | 13.2g | |
いか | 9.0g | |
たこ | 7.8g | |
あじ | 5.9g | |
かつお | 12.9g |
1切れが大きなお刺身は3切れ12gくらい。
いかたこは10g弱くらい。
夜ごはん部門/焼肉編 ※タレ除く
単位 | たんぱく質量 | |
ジンギスカン | 1皿6枚 | 15.6g |
いのしし | 18.8g | |
牛 ロース | 13.8g | |
牛 サーロイン | 11.7g | |
牛 カルビ | 11.0g | |
牛 もも | 19.2g | |
豚 ロース | 18.3g | |
豚 カルビ | 13.4g | |
豚 もも | 21.9g | |
豚 ヒレ | 22.7g |
脂身が少ない分、たんぱく量がアップ
夜ごはん部門/焼き鳥編 ※タレ除く
単位 | たんぱく質量 | |
砂肝 | 1本 | 7.3g |
レバー | 7.6g | |
ハート | 5.8g | |
ささみ | 9.6g | |
もも | 10.5g | |
むね | 13.9g |
大体1本10gくらいですね。
ムダがない、プロテインを選ぼう!
ステップ1:おおよその全体を把握しよう
1日の食事から、どのくらいたんぱく質をとっているかを計算します。
食事回数や主食の有無など、気になる食事パターンで算出してみます。
【例①】会社へ出社する日、昼と夜は外食
朝:ごはん1杯、味噌汁、納豆
9.1+1.2+7.4=17.7g
昼:ラーメン、ぎょうざ(3個)
19.9+5.1=25.0g
間食:コーヒー牛乳1杯→牛乳は1/4杯くらい
1.65g
夜:回転寿司2貫×5皿(10貫)+豚汁
→平均して大きい刺身3切れ×3&ごはん1杯
12×3+9.1+5.7=50.8g
※お寿司は少なく見積もりました
合計:95.2g
夜の回転寿司だけで、女性50g超え!
【例②】休日は朝昼兼用です
朝:なし
昼:食パンバター塗り1枚、バナナヨーグルト
5.6+0.1+1.7+3.6=11.0g
夜:ごはん、味噌汁、野菜炒め
9.1+1.2+2.5=12.8g
合計:23.8g
※例えば、野菜炒めに鶏もも肉1人分を入れた場合、焼き鳥編 もも1本10.5gを2倍にした21gを合算してくださいね。夜:12.8+21=33.8g、合計:44.8gになります。
1食抜くとデカイ・・・
実際に計算してみると、大まかな全体量が把握でき、不足するときのパターンや適量からの乖離の程度に気づくと思います。
表にないもの、例えばミートスパゲティーの場合は同じパスタのペペリンチーノ、酢豚の場合は、野菜炒めと焼肉編の豚肉 ロース肉と合算してみてくださいね。
計算は手間かもです。代表的な食事パターンで把握しておくと、そもそもプロテインは必要なのか、必要ならどのくらいなのかを見極められますよ。
ステップ2:あなたに必要なたんぱく質量と照らし合わせよう!
食事摂取基準や、最初に計算した必要量と照らし合わせます。
<20〜50代>
男性:65g
女性:50g
<運動量別たんぱく質必要量>
■通勤・通学、家事、買い物
体重1kgあたり0.8〜1.0g/日
■持久性トレーニングをしている:長距離ランニングなど
体重1kgあたり1.2〜1.4g/日
■断続的な高強度トレーニングをしている:ダンベルを使った筋トレ
体重1kgあたり1.4〜1.7g/日
■体重1kgあたり2g/日以上は過剰摂取
体重60kgの30代女性、通勤や家事・買い物くらいの運動量の場合、
1日に必要なたんぱく質は50g(食事摂取基準)、48〜60g(運動量別)です。
【例①】会社へ出社する日、昼と夜は外食する場合
食事のたんぱく質摂取量は95.2gで、プロテインはいりません。
例②】休日は朝昼兼の場合
【食事のたんぱく質摂取量は23.8gで、不足しています。
夜まで過ごしてしまったなら仕方ありません。プロテインの力を借りましょう。
ステップ3:プロテインを探そう!
過剰に摂っても意味がないので、不足を補うようにプロテインを選びます。不足分を計算しましょう。
例②】休日は朝昼兼
【50.0-23.8=26.2g
48〜60-23.8=36.2〜24.2g
大体25gくらいのプロテインを選べばOK!
牛乳や豆乳で混ぜる場合は、差し引いて・・・
牛乳:26.2−6.6=19.6g
豆乳:26.2−7.2=19.0g
20g弱のプロテインを選んだらいいんか〜という具合です。
ステップ4:必須アミノ酸はどう考えるか?
たんぱく質は「量だけとればいいのではない」と聞いたことがあるかもしれません。
たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、必須アミノ酸が1つでも欠けたり足りていないと体内での利用効率が悪くなります。
下の桶のイラストのようなイメージです。
1枚でも短い板があると、水が入るのは短い板のところまで。
9種類の必須アミノ酸が満ち足りて、体内での利用効率がよくなります。
9種類の必須アミノ酸とはこちら。
メチオニン、フェニルアラニン、リジン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、バリン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン
それぞれの頭文字を取って、
(あ)めふりとろいばずひ=雨降りトロイバスヒ
覚えやすいでしょ?
肉・魚・卵・乳製品は必須アミノ酸を十分に含み、たんぱく質の栄養価が高いです。
動物性たんぱく質を1日のどこかのタイミングで食べるなら、プロテインを選ぶときに必須アミノ酸の優先度を上げなくてもいいですよ。
欠食をしたり、野菜ばかりの食事パターンになった場合は、必須アミノ酸(雨降りトロイバスヒ)が入ったプロテインを選ぶといいでしょう。
合言葉は最大効率化!選んだプロテインを活用するために
エネルギー(カロリー)をとろう!特に炭水化物が重要
エネルギー源になる栄養素は、炭水化物・脂質・たんぱく質の3つです。
たんぱく質は筋肉や肌・骨などの体の材料に、脂質は細胞膜の主成分としての役割も担っています。
炭水化物からエネルギーが不足すると、たんぱく質がエネルギーとして使われたり、筋肉中に蓄えているグリコーゲンをエネルギーにしようとして、筋肉が破壊されてしまいます。
プロテインに願った目的を果たしてもらうためには、炭水化物由来のエネルギーが補給されていることが大切です。
ビタミンB6もお忘れなく
たんぱく質を代謝するにはビタミンB6がマストですので、お忘れなく。
ビタミンB6を豊富に含む食材は、簡単に検索できるのでここでは省略します。
ビタミンB6を食事からとれないことが予想されるときは、ビタミンB6も処方されたプロテインを選ぶといいですよ。
あとは、「添加物が少ないものがいい」「食物繊維もとれたらうれしい」など、お好みでチョイスしてくださいね。
まとめ
本当はいらないのに、必要であるかのように思わせるのが上手な知識で溢れかえっていますよね。
知識にだまされない、ムダのないプロテイン選びのご参考になればうれしいです。
それではごきげんよう。