こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
・学歴がないことをカバーする方法
・学部卒から研究職で就活する手順
・就職してからわかった研究職の本質
この記事を書いているわたしは、学部卒でしたが化粧品・健康食品メーカーの研究職で就職しました。
出身大学は国立大学でも有名私大でもなく、神戸学院大学という栄養学部の当時は偏差値57くらいの大学です。
「研究職は大学院へいかないと無理」「うちのような大学から研究職で採用されるはずがない」と、大学の進路担当者や先生、親に言われましたね。
そこで本記事では、学歴のない私大の学部卒で研究職に就職できた手順をまとめたいと思います。
学歴は内面を予測するための情報源
東大生すごいな〜、京大生すごいな〜。高学歴な人たちのすごさを分解すると、そこにたどり着けた内面がすごいんです。
例えば、東大に合格できたということは、
・本番で実力を発揮できる
・体調やメンタルの管理ができる
・自分の実力を的確に判断できる
・現在地からゴールまで勉強をやりきれる
・文章を読んで内容を正確に把握できる(読解力が高い)
東大生というだけで、こういった内面=スキルを持っていると、相手に伝えることができまます。説明しなくてもイメージしてもらえます。
読解力については、コミュニケーションエラーが少なそう!という期待も加わりますね。
学歴がないということは、学校名でこういった内面=スキルを説明できないということになります。
学校名で説明できないなら「経験」で説明しよう
“ピアノ歴 ●年、毎年新曲でコンサートに出演している”“家庭教師のアルバイトで勉強嫌いの中学生を担当し、学力●%向上した”
習い事やアルバイトなどの経験で、やりきる力、自己管理能力、コミュニケーション力を説明する作戦です。
エントリーシート(ES)や履歴書の自己PRの欄に、内面を説明するように経験を書いていきます。わたしはアルバイト経験で説明しました。
※アルバイト経験を選定した基準は「自己PRで工夫したこと」で触れています。
3日で辞めると思われた私が、店長代理になるまで工夫したこと
大学1年次より吉野家でアルバイトを始め、3年目で店長代理になりました。以下3点を工夫しています。
・朝と夜ではお客様の雰囲気が異なり、気持ちのいい接客が変わることに気づいた。朝は元気よく、夜は少し控えめに声のかけ方を変えるようにした。
・3秒でご飯からお肉が盛れるよう猛特訓した。お店をスムーズに回すため、ホールから目を離さないようにした。ピークは1時間あたり150名来店されるがスタッフと連携して混雑なく運営ができるようになった。
・年上の方が後から入ってきた際には、人生の先輩であることを意識している。
学校名では説明できない内面を補うように書きました。
研究職は大学院へ行かないと無理ということは、入社できた場合、後輩には年上がしばらく続くのかなとも思いました。バイト中に後から入ってきた年上さんに苦労したこともあり、年上後輩への姿勢を書きましたね。
企業にはESや履歴書がたくさん送られてくることを予想し、「パッと見でも目に留まる見やすさ」を意識していたのを覚えています。
手書きだったので、ボールペンorサインペン、ボールペンとサインペンのミックスで書いて、もっとも見やすくかけたサインペンで書いた履歴書を提出しました。
手書きだとゴチャッとするので、箇条書きにして下線をつけましたよ。
こんな風に、学歴がないことをカバーしました。
大学院生は何をしているか?
所属していた研究室には修士や博士課程に在籍中の大学院生がいたので、院卒と学部卒の差を肌で感じていました。
院生は授業もあるけれど学部ほど多くはなく、ほとんどの時間を研究に費やしていました。研究も手取り足とり教わりません。
論文を読んでは実験する。成果を学会発表して論文にまとめていました。淡々と。
研究職は大学院へいかないと無理という言葉の意味は、仮説を立てるところから成果をまとめるまでを自走できないとダメということなのだと理解しました。
つまり、
「院卒」というと、実務経験がある=ある程度自走できると伝わる
これには同じ土俵に立てないので諦めました。実務経験の広さや濃さよりも、今している研究への情熱を伝えるように研究内容を書いたり、面接で話しました。
抗がん剤の副作用で苦しむ人をなくしたい
身内の闘病生活から抗がん剤の副作用を目の当たりにした。抗がんの研究をする水品善之氏の元で素材探索研究をしている。
・菜種油の絞りかすをカラムクロマトグラフィーにかけて成分を分離、各成分のDNAポリメラーゼの分子種選択的な阻害活性で有効性を評価した。有効性が確認できた成分をマウスの耳に塗布し、抗炎症評価を行う。
・クロマトグラフィーによる成分分離と有効性評価をくり返すことにより、成分の単離に成功した。NMR分析の結果、ルテインに抗がん活性および抗炎症活性があることを見出し、日本農芸学会にて口頭発表した。本研究を応用することで、廃棄されている菜種油の絞りかすから副作用のない抗がん剤の開発に寄与できると考える。
研究動機と成果がもたらす明るい未来に注力したのを覚えています。
面接では研究内容の質問や議論もあったのですが、わからない場合は「わからない」と答えました。
周りの院卒生がすごい受け答えをしている中、自分の研究内容すらわかってないと評価される不安もあったのですが、
面接官が研究所の方かもしれない、この分野に詳しいかもしれないと思うと、ねじくり出した発言で墓穴を掘るよりも未熟さゆえの不採用になった方がマシ!と判断しました。
結果論にはなりますが、院卒と同じ土俵に立つことを諦めたのがよかったのかもしれません。
学部卒でのびのびと就活した手順をシェアしますね!
学部卒から研究職に就活する手順
就職サイトで「学部卒可」の企業を探してみよう
リクナビやマイナビで、応募条件「学部卒可」と書いてある企業を探してみました。大企業から中小企業までありましたよ。
学部卒でもあるやん!と思いましたね。
応募できる企業数は少なかったけれど、内定10社とかもらっても入社できるのは1社だけ。1社1社見てエントリーしていきました。
身の回りの商品やサービスに出会いがあった!
就職した会社は就職サイトで見つけてないんです。
母が化粧品を使っていて、ついでに買ってきて!と頼まれまして。そのときの接客に感動しました。家に帰って調べたら「研究職 学部卒可」と書いてありESを出しました。
・こんな接客、今まで受けたことない!
・性能がすごい!
身の回りの商品やサービスにアンテナを張っておくと、いい出会いがあるかもです。
すごいと感じた理由がその会社を志望する動機にもなりますし。
なぜ「学部卒可」なのか?
学部から研究職は無理といわれたことは、学部卒可としている理由を考えるきっかけになりました。
Q. 実務経験が乏しい=即戦力ではないのになぜ?
A. 即戦力を期待しているのではないのかもしれない。
Q. 学部卒であることは企業にとってどんなメリットがあるだろうか?
A. そういえば、研究室のルールや自分のクセみたいなものが薄い。
自問自答をしていき、学部卒のメリットを見出しました。
学部卒は真っ白なキャンバスのようなもの。色がついていないから会社の色に染まることができる。
集団面接やグループワークで高学歴な院卒に圧倒されたときでも、ここに帰ってくると平常心でいられました。
学部卒であることのメリットを考えておくと、学歴のなさからくる不安な気持ちも安定させられるかもしれないですね。
自己PRで工夫したこと
募集要項にある求める人材を見ましょう。
協調性がある人、常識にとらわれない人など、一緒にはたらきたい人の内面が書いてあります。企業理念や会社の歴史も求める人物像をイメージするヒントになります。
嘘や誇張はミスマッチの原因になるのでやらない方が効率がいいけれど、同じエピソードを語るにしても、協調性を発揮して店舗運営ができたと語るか、常識にとらわれない手法で店舗運営ができたと語るか、書き方が変わってきます。
アピールする内面は募集要項と照らし合わせていました。
経験と工夫したことをとりあえず書き出して、これはいらないな〜と削ったり、他に工夫したことってあったかな〜と考える。そうして上のような自己PRが完成しました。
応募できる数が多かった場合、自己分析や企業分析にここまで時間をかけることができたかは不明です。そういう意味でも応募できる数が少ない学部卒でチャレンジしてよかったですね。
就活中に失敗したこと
早々に研究で就活すると周囲に言ってしまったことですね。
ESが通過した、二次面接通った、選考が少し進んでから話せば逆風が吹き荒れることはなかったかなと思います。
親や大学の先生達は自分たちが生きた時代の正解からアドバイスをくれる。親世代と今では就活の状況が全然ちがうから、本当のところはやってみないとわからないよね。
前例がないなら第1号になればいい。
そうして燃えられたので、結果的にはよかったんですけれども。
聞かれたとしてもにごしておいて、少し進んでから伝えれば最初から応援してくれたかなと反省です。
でも、選考が進むにつれて面接の練習をしてくれたり、院卒との実務経験の差を埋めようとスパルタ指導をしてくださり感謝しています。
就職後に気づいたこと
基礎研究と応用研究の両方を経験しました。
基礎研究は細胞や動物を使って、まだわかっていない知識を発見する行為です。
素材Aには脂肪細胞を減らす報告がない。知られていないだけではないか?やってみよう!脂肪細胞を減らしたぞ!脂肪細胞を減らしたメカニズムは、食欲を抑えるホルモンが増えたからだろうか?脂肪分解酵素の分泌が増えるからだろうか? 検証してみよう!
好奇心を持って新しい発見をしていくことが仕事でした。
応用研究は基礎研究で発見した知識を商品やサービスとして形にする行為です。
脂肪細胞を減らした素材Aで商品をつくろう!水に溶けないから油で混ぜてみる?分子を加工する?食欲を抑えるホルモンを測れるキットはどうだろうか?
無から有にしたり、不可能を可能にすることが仕事でした。
就職後に気づいたことは、研究職の仕事の本質です。
・好奇心を持って新しい発見をすること
・無から有にすること
・不可能を可能にすること
この研究職の仕事の本質を考えると、
・学歴がなくても研究職で就職する方法はないか?
・無理っていうけど、それって本当?
多くの人が無理だということに疑問を抱き、「学部卒可」の企業を調べてやってみた就活そのものが研究職の第一歩だったと気づきました。随分と後だったけれど。
学部卒でも研究職で就活する最大のメリット
研究職を志望するかぎり就活からは逃れられないとすると、学部のうちからやっておけば、仮にダメだっとしても、院卒で就活するときにはアドバーンテージになっています。
学歴のなさをカバーする考え方や学部卒の価値の見出し方、ESや履歴書の書き方は、不採用通知をもらった改善点から生まれています。
院卒の場合、就活の時期と修士論文を仕上げる時期が被っています。
研究しながら論文書いてをしている中、ゼロから発見していくのは大変だっただろうな・・・
いろんな人がいろんな意見を言っているけれど、とりあえずやってみたらいいんじゃないかなと思います。
やってみる上で、自分の価値がわからない方は、ちきりん著:マーケット感覚を身につけよう を読んでみてください。
価値を見つける思考のプロセスが書いてあります。
ヒトは何に価値を感じているかを分解することで、あなたにもキラリと光るあなたの価値が見つかると思います。就活時代にほしかった。。
忙しくて読書する時間がない方は、移動の合間とかに耳で聴くのもいいですね!
未体験なら3,000円が無料ですよ。無料で自分の価値が見いだせるなんて最高ですね。
就活時代にほしかった。。(2回目)
まとめ
前回に続き、外見から内面的要素をイメージされるというテーマで書きました。今回は「学歴(院卒を含む)」です。
学歴でイメージされる具体的な内面と、学歴がないときの対策を就活体験記で書きました。
・学歴から相手に伝わる内面的要素を考える
・内面的要素を説明できる自分の経験を語る
・学歴がないことのメリットを語る
まとめるとこんな感じです。
それではごきげんよう。
※追記
論文を読んでは実験を繰り返していると、知識やものの見方の数が増えるので、仮説を立てたり考察をすることが自然にできるようになります。
さらに訓練を重ねて本質が見えるようになると、抽象化思考ができるようになっています。
大学院生って賢いなあ・・・とうらやましく思っていた特徴ですが、これらの特徴が足かせになるケースもあるんですよ。
2つほど記事を追加したので、興味があったら読んでみてくださいね。


それではごきげんよう。(2回目)