こんにちは、管理栄養士の奥田千晶です。
息子の年頭所感に驚きました。

きのこをがんばってたべる
きのこヤダー!を保育園でやっているようです。。
「食べなよ」「やだ!」の押し問答大会は早々に撤退いたしました。
えぐみの少ないきのこを使うようにしたり、細かく刻んでお肉や魚に混ぜ込みハンバーグにする。
そうするとスムーズに食べるので、わたしの気力と体力の温存が可能になります。ほんの少し長く生きている人間の悪知恵ですね。
もう少し押し問答大会をやっていた方が、彼にとってはよかったかもしれないな・・・
年頭所感をみて反省しました。
その翌日、めずらしく雪が積もったんです。
雪・・・今日は1歩も外へ出ないぞ。
雪が降ることさえめずらしい温かい地域で生まれ育ちましたが、物心ついたときから雪が苦手で、家にいるときくらい、休み時間はどう過ごそうが勝手でしょー!とあの手この手を使って避けてきました。
同じタイミングで苦手と直面した子どもとその親。
よし、がんばって雪を好きになろう!
がんばって雪を好きになると誓い、まずは雪が好きだと言ってみて、さらに雪のいいところに着目してみました。
雪が好き。日が当たるとキラキラした宝石みたいなところが好き。踏むとキュッキュッってするところが好き。ボールにしてぶん投げても怪我をすることがない柔らかさが好き。
雪が好きなような気はしてきませんでした。
そこじゃないし。
好きだ好きだ好きだと入れ込もうとすればするほど、「(寒いし冷たい)」の声が大きくなるんですよね。
「寒いし冷たい」が雪を苦手とするスイートスポットなんでしょう。
宝石みたいなところが好き。でも、寒いし冷たい
↓
寒いし冷たい。でも、宝石みたいなところが好き
「寒いし冷たい」を超えるヒットがない限り、好きになろうとすればするほど、苦手から嫌いに近づいているように思います。
好きになろうとする作戦は中止。
苦手のスイートスポットがなくなれば、雪を好きになれるかもしれないとも過ぎりました。でも、よく考えたら変な話です。
温かい雪?! 溶けてなくなってしまうじゃないか。
寒いし冷たいけれど、どうか雪は雪のままでいてください。
がんばって好きになる作戦は不発に終わってしまいました。
そういえば!
かつては苦手だったものが大好きになっているものがあります。
ビール!くまさんのビールがお気入りです。
発泡酒も好きです。そのくらいあの味に目がありません。
親の真似をして飲んだあの日、マッズー!ようこんな苦いもの飲んでるなあと、苦手なものに分類しました。
いつからでしょうね、苦手だったあの味そのものがやみつきになっています。
苦手が大好きに変わるときは、苦手なところそのものを好きになるとき。
苦手としていたあの味さえ欲してしまうのですから、それはそれは大好きです。
もう1つありました。
日本酒の独特の味が苦手です。厳密には、日本酒単独で飲んだときのあの味が苦手です。
友人が恵比寿様みたいな顔をしながら、おでんに合わせて日本酒を飲んでいて、真似してみたんです。
料理に合うってこういうことをいうんかー!
日本酒がおでんとセットになることで、日本酒単体よりも、おでん単体よりも、格段においしくなることに稲妻級に感動しました。
以来、料理とセットになった日本酒は大好きです。
苦手を上回るいいことを体験したときも、苦手から大好きに変わるんじゃないかなあと思います。
苦手の対象はなに1つ変わっていないけれど、好きになろう!克服しよう!と誘導したわけでもないけれど、ごく自然と好きになるパターンもあるようです。
苦手でも受け入れるとき
食べものに関しては、苦手や嫌いと遭遇せずにきました。食卓や給食で好き嫌いがなければ何ら問題なく過ごせるんですよね。
30歳手前まで平和に暮らしていました。
ところが、、
パクチー大流行時代がやってきたのです。。
当時はスーパーマーケットのコンサルタントをしていて、生産者の取材とレシピ動画の制作がわたしの仕事でした。
パクチーは嫌いではないけれど苦手で、できれば食べたくはなかったのですが、レシピ動画を制作しないといけなくなったのです。
黒船きたーーーーー!と思いましたね。
知ってますか?パクチーって火を通すとあの香りが増強され、なんともいえないニオイを放ちます。
エスニック料理で使用されることが多いので、同じくエスニック料理に欠かせないナンプラーと合わせようものなら・・・
じ、じ、地獄ーーーーー!ってなるわけです。
でも、完食しましたよ。
パクチーを育てた農家さんの顔を思い出していたからです。
食べきれないくらいの食事を振る舞うことがおもてなしとする地域・人もいらっしゃいますので、臨機応変に対応をしますが、
生産者の想いがこもったもの、生き物の命をいただく側として、残す選択肢は基本的にありませんね。
苦手でも受け入れるときは、それに付随する事柄を大切にしたいときですかね〜
給食には教材の側面がある
2021年3月で食育セミナーの講師を卒業してから、学校給食に関わらせてもらっています。
・食経験を養う
・食文化を学ぶ
・食地域を知る
・食べものと体の関係を学ぶ
・苦手とうまく付き合う
給食には教材の側面があると改めて感じました。
子どもの嫌いな食べもの第1位にのしいたけを、なんでデーンと入れるねん!
エノキの方がえぐみがないのに、なんでシメジを入れるねん!
給食には教材の側面があるからです。
将棋棋士 藤井聡太さんのように、早いうちから範囲を絞りその道を極めてらっしゃる方もいますが、早いうちから範囲を狭めるとそれなりのリスクを伴います。
範囲の決定するのは保育園や学校ではなく、本人ですからね。
給食には、苦手とうまく付き合うレッスンが組み込まれているのでしょう。
※あくまでも洞察です。他言の際はご注意ください
苦手は人と人をつなぐ発明になる
苦手とうまく付き合うレッスンなんていわれると、苦手なことがあるのは悪いこと、苦手なことがある自分は劣っているように感じてしまうかもしれないですね。
世の中のものを見渡してみると・・・
■手で水をすくうことが苦手な人がコップを開発した
■電話が苦手な人がメールを開発した
■メールが苦手な人がSlackを開発した
■記憶することが苦手な人が辞書を開発した
■ほしい情報を探し出すのが苦手な人がインターネットを開発した
■プレゼンの苦手な人がHPを開発した
※あくまでも洞察です。他言の際はご注意ください
ニガテイズマネー
苦手なものとうまく付き合えず、自分のために開発したら同じ苦手を抱えている人が思いの外いて、結果的にたくさんの人達を救ったという現象ではないでしょうか?
こたつでぬくぬくしながら宝石のような雪を眺められる「空飛ぶこたつ」があったら、雪が大好きになるだろうな〜
さいごに
きのこをがんばってたべられるよう、支援して参ります。
でもその支援が「苦手は悪」だとか「苦手は克服しなければならない」のメッセージとして定着しないよう言動には注意を払いたいと思います。
ある程度の年齢になれば自分の考えで取捨選択ができるのだろうけど、まだまだ判断力を有さないスポンジのような息子へはかける言葉に迷います。。
口は災いの元、はそういうところからきたのかもしれないですね〜
本日は以上です。
それではごきげんよう。