こんにちは、管理栄養士の奥田千晶です。
声優の杉本沙織さんが摂食障害の1つである食思不振症(神経性食欲不振症とも呼ぶ)による、心不全でお亡くなりになりました。
悲しい………
お疲れさまでした。▼食思不振症に伴ううっ血性心不全のため亡くなった。
声優・杉本沙織さんが死去 2021年10月29日 https://t.co/udNVelx9EZ— 奥田千晶|管理栄養士 (@chiaki_okuda) October 29, 2021
安らかなお眠りを心よりお祈り申し上げます。
肥満が心臓へ負担をかけることは広く知られていますね。脂肪がたくさんついているがために、血液を送るのに心臓ががんばらないといけないからです。
脂肪がないやせすぎでも心臓に負担をかけるんですよ。
やせすぎが原因で心臓に負担をかけるメカニズム
食事をしなかったり、できなくなることで、極度の栄養不足と脱水が起こります。極度の栄養不足と脱水になると身体の中では、
・循環血液量の減少
・低血糖
・電解質異常(Na:ナトリウム、Ca:カルシウム、K:カリウム)
が起こっています。
血液の構成成分は、約90%が水分で残り約10%が固形成分です。固形成分は免疫グロブリンなどのたんぱく質、ミネラル、糖分、脂質です。
身体に入ってくる栄養素が十分でないと血液の固形成分がつくられなくなります。その上、脱水により水分も少なくなってしまいます。結果として、身体をめぐる血液量が減少します。
食事制限による過度なダイエットで、めまいやふらつき、貧血、低血圧といった症状がでてくるのはこのためです。
心臓を動かすにもエネルギーが必要ですので、低血糖になると心臓はスムーズに動けなくなりますね。
カルシウムとカリウムは心筋の収縮と弛緩を正常に保つように作用し、ナトリウムはカリウムと協働して体内の水分バランスを調整しています。
心筋が正常に動くために、電解質のバランスも大切なのです。
やせすぎによる心不全の根本的な原因は、極度の栄養不足と脱水
同じ心不全でもメカニズムはまったく異なります。
単にやせることや脂肪を落とすことが健康とか美容だと勘違いしないでくださいね!
やせる方法はいくつもありますが、心臓に負担をかけるものか?(=栄養バランスは整っているか)は、健康的なダイエット方法の判断の1つになりうそうですね。
短期間でガツンとやせたいときは?
摂食障害を克服した知人によると、短期間でやせられるダイエットは変化を肌で感じることで達成感を得られやすく、のめり込みやすいそうです。
短期間でやせたい事情もあるかと思います。
結婚式まで1ヶ月を切っているのにドレスからお肉がはみ出てる・・・とか、スポーツの試合で身体が軽い方が勝ちやすい!みたいな場合ですね。
大いに励んでください。
ここまでやせたら一旦ストップ!の「ライン」を設定しておくことをおすすめいたします。
周りの人がほめてくれるから、ドンドンやっちゃう!みたいなことにならないために。
本日は、やせすぎが原因で心不全になるメカニズムを解説しました。
安らかなお眠りを心よりお祈り申し上げます。